東京工芸大学工学部?情報コース/ドローンによる情報収集で広がる可能性

東京工芸大学工学部?情報コース/ドローンによる情報収集で広がる可能性

ドローンによる情報収集で広がる可能性

工学部?情報コースが進化する ドローンによる情報収集で広がる可能性

工学部 内田孝幸教授

工学部の内田孝幸教授の研究室では、ドローンの技術と画像解析の技術を組み合わせることで、測量や検査といった幅広い分野における「技術のアップデート」を目指しています。
内田教授はドローンを用いた画像解析の進化を「現代の黒船」と位置づけており、 本学でも学生を対象に二等無人航空機操縦資格(国家資格)の教習機関として登録講習機関活動を開始するなどバックアップ。 本学は写真学校を起源として「テクノロジー(写真技術)」と「アート(写真表現)」を融合した最先端の学びを提供してきました。100周年を迎えた本学の、 次の100年を形成する技術研究がここにあります。

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工学部 工学科 情報コース

主な研究分野は電子デバイス、電子物性で、近年はドローンと画像解析を組み合わせた研究にも取り組んでおり、本学におけるドローン研究?技術指導の推進役でもある。プライベートではものづくり全般が好きで、オートバイといった機械ものや家の外壁や床張りをするなど四六時中、趣味のものづくりをエンジョイしています。

工学部 内田孝幸教授
ドローンで、電子画像工学の進化が加速する

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ドローンと聞くと、皆さんの中では「趣味で使うもの、飛ばして遊ぶもの」といったイメージが強いかもしれませんが、「離島に医薬品を届ける」といった荷物の輸送など、社会のあらゆる分野で役立つことが期待されています。何より注目してほしいのは、ドローンとさまざまなテクノロジーを掛け合わせることで、新たな可能性が生まれようとしていることです。たとえばドローンに人間の体温を感知するような赤外線カメラを搭載することで、雪山で遭難した人の捜索を行うといったことは既に行われています。これまでヘリコプターを使用し、人の目で確認していた雪山での遭難者捜索が、より簡単に、より高い精度で行えるのです。

LiDARを用いた、体育館の3D解析

私の研究室は電子画像工学などに取り組んでいますが、そのひとつに「LiDAR(ライダー:レーザーイメージングの検出と測距)」と呼ばれる装置を用いて空間形状を一瞬で把握するという技術があります。自動車の自動運転にも欠かせない技術ですが、これをドローンに搭載すれば建造物の形状なども容易にデータ化することが可能になるでしょう。こうしたことから現在は、ドローンが研究活動に不可欠となっています。
東京工芸大学は創立から現在までの100年にわたり、写真や画像に関する研究に取り組んできました。これからの100年は、そのDNAを受け継いだ電子画像工学とドローンという新たなテクノロジーの進化が両輪となり、これまでにない技術を生み出していくに違いないと感じています。

LiDARを用いた、体育館の3D解析

内田教授の研究室では、体育館の3D解析に挑戦。といっても決して難しいことではなく、学生がLiDARを手に体育館の中や外を歩いただけで、体育館の外観や、内部の階段の構造などを測定できるのです。この技術をドローンに搭載することで、山間部のような立ち入りが困難な場所での測量も容易になります。
研究室にはLiDARとドローンを使って精密な3Dモデリングデータの作製に取り組んでいる学生もいます。

LiDARを手に、体育館を計測する学生。

LiDARを手に、体育館を計測する学生。

レーザー光を当てて跳ね返る点の構成で体育館の全景を把握することができる。

レーザー光を当てて跳ね返る点の構成で体育館の全景を把握することができる。

futurefuture

私はドローンによる画像解析を、「現代における技術の黒船」と呼んでいます。両者の技術が進化することで、これまで当たり前と思っていた物事の効率化が一気に進むと考えられるのです。たとえば高速道路のトンネルや橋梁の点検は、これまで人が壁を叩きながら行っていました。そこにドローンを使った撮影で入手した画像を解析することで、外観異常を検知することができます。また測量の分野では、山間部の等高線を事前に測っておけば、もし土砂災害が起きた際でも崩落した土砂の量を割り出すことが可能です。ドローンが持つ可能性はそれだけではありません。社会のあらゆる分野でGPSを代表とするGNSS(全球測位衛星システム)、レーザー、赤外線カメラといったさまざまなテクノロジーの研究が進んでいます。こうした最新のテクノロジーとドローンを組み合わせることで、保守点検、防災、物流、セキュリティなど、あらゆる分野の技術が向上し、効率化が進んでいくと考えています。

「技術の黒船」により、あらゆる分野の効率化が進む未来
「技術の黒船」により、あらゆる分野の効率化が進む未来
ドローン×電子画像の、新たな可能性を追究

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私の専門は電子画像工学や有機EL、フォトグラメトリ(多視点画像からの3D構築)といった分野なのですが、その研究を推し進めるためにドローンを活用しています。学生にもドローンを使用してもらいたいのですが、2022年より国家資格となりライセンスが必要になりました。

資格取得のための練習にもかなりのコストがかかるようになってしまったこともあり、本学では同好会?研究会として他の教育機関に先駆けて教習機関としての認定を取得しています。希望者は体育館などを活用してドローン操縦の練習を行い、無人航空機操縦者技能証明(二等)を目指します。既に民間の操縦ライセンスならびに二等の学科試験に合格した研究室の4年生はキャンパスの隣にあるゴルフ場で、ドローンを活用してグリーン全体を撮影。その画像を基に、芝生の植生がどのようになっているのかの観察に取り組んでいます。また本年度は江の島国際芸術祭2023に参加し、フォトグラメトリで作成した江ノ島のオブジェを展示するなど、幅広い活動も行っています。

「江の島国際芸術祭2023」で作品を展示

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この春に行われた「江の島国際芸術祭2023」では、フォトグラメトリを用いて作製した江ノ島を展示。建造物や植林だけでなく、水面の僅かな白波なども忠実に再現されており、その精度の高さが分かる作品になっています。

3D作品を多彩なイルミネーションで展示

3D作品を多彩なイルミネーションで展示

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  • 阿部千奈乃さん

    工学部工学科 3年
    福岡県立香住丘高等学校出身

    阿部千奈乃

    CHINANO ABE

    もともとは芸術と工学をリンクさせた学びをしたいと思い、工芸融合の学びができそうな東京工芸大学を選びました。CA(カリキュラムアドバイザー)が内田先生だったこともあり、 ドローンや電子画像工学についても興味を持つように。 話を聞くまでは遊びのイメージが強かったドローンですが、撮影した画像データの3D化など、その可能性に衝撃を受けました。 ドローンの操縦は方向感覚などが難しく、現在は先輩に教わりながら練習している最中です。

    ※CA(カリキュラムアドバイザー)とは高等学校の担任のような役割をしてくれる教員のことで、成績や履修に関する相談?指導を行います。

    my challengemy challenge

    ドローンで建造物の状態把握や改善を行うといった研究に取り組みたいです。また芸術の分野では興味のあるホログラムにパラパラ漫画のようなフリップブックを取り入れた研究もしてみたい。 たとえばそうやって制作した画像を、ドローンを用いてプロジェクションマッピングのように投影するといったことにも興味があります。

  • 杉山尚輝さん

    工学部工学科 4年
    神奈川県立相模田名高等学校出身

    杉山尚輝

    NAOKI SUGIYAMA

    内田教授の研究室では、他の学生と一緒に森林などの植生を画像解析によって行うといったことに取り組んでいます。
    そこで欠かせないのがドローンの操縦で、現在は国家資格取得を目指して学内で練習の毎日。 卒業までにきちんと操縦技術を身に付けたいので、ドローンの同好会も立ち上げました。
    実は父もドローンが趣味なのですが、学内で国家資格を取得できると聞いて、羨ましがられています。

    my challengemy challenge

    卒業後の進路は当初、電気系の企業に就職できたらと思っていましたが、ドローンに大きな可能性を感じるようになったので、その技術を活かした就職ということを視野に入れています。
    今後ドローンを使ってできることが広がっていることもあり、どの進路がいいのか、悩んでいる最中です。

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